いつ完成するか分からんレベルだぜ

「あんたぁ、何書いているんだぁ!」「いや、裏の畑をどうするかだ」「あそこの山は誰の持ち物なんだい?」

「わしには残すものなんかないなぁ」「金なんざ使ってしまった方が、残される者は幸せなんじゃないか?」

何人かで持ち寄り、頭をくっつけて書いても、やはりみんな好き勝手に人の話を聞かないで、自分の事ばかりしゃべる。まぁ、この年になればしかたないか。

「おいおい。みんなで足並みそろえ、作るはずじゃなかったかぁ?今は、遺言書キット虎の巻を読むはずだったがのう?」

やれやれ、孫から教えられた遺言書キットを話したら、みんな「わしらにも教えてくれ」と言うから、こう集まっているっつーのに。

あっちこっちに話が飛んで、さっぱり先に進まんよ。でも、みんないつお迎えが来てもおかしくない年だからなぁ。そう思うのも無理はないわい。

しかし、このペースだといつ完成するか分からんぞ。その後にお迎えがきてくれることを祈るしかなさそうじゃな。